【読書中】世界史を大きく動かした植物【進化の面白さ】

BOOK

一日一冊は読み終われないので、今日からは毎日読んだ分をさらっとまとめ→読了したら、全体をまとめて読書感想します。

この本は全く買う予定がなかったところ、本屋さんでジャケ買いしてしまいました。ブックデザイン:水戸部功さん。なぜ、ふっと目に飛び込んできて買うことになったのか・・・デザインについての考察も別カテゴリーでやっていけたらなと思います。

進化は必然?偶然?

植物の話はぼくが途中で挫折した『銃・病原菌・鉄』にもトウモロコシの話が出てきてました。挫折してしまった大きな理由は「なぜこのように進化してきたか」について明確な進化の意思があったわけではなく、長い年月の中で「偶然の必然性」みたいことが起こった結果を進化として捉えているから・・・みたいな話を、事例をふんだんに使って解説してくれている本だったため。ぼくの情報処理能力を遥かに超えていて、挫折。

とはいえ話自体は面白い。

今回の『世界史を大きく動かした植物』では、植物ごとに章を区切っていく展開。最初がコムギで次がイネ・・・と続くのですが、コムギの最初の一文が

木と草はどちらが進化形?

でした。しびれる。

そんな風に考えたことなかった。どっちも植物としてずーっとあって、別々のものだと思っていたけど。そりゃ元を辿っていけばみんな最初は同じようなアメーバ状の何かだったりしたわけで、どこかで分岐したのだろうけれど。

答えは「草が進化形」らしいです。

大地が一つだった頃、まだ二酸化炭素が今より大量にあった頃、ほかの植物より高い位置で光合成をしようと、植物はとにかく大きくなっていったそうです。そして大きくなった体を支えるために硬くなって、木の形となった。

ところが地殻変動が起きて大地が割れて、環境が不安定になっていくと、ノンビリ大きくなっている余裕がないので、小さく細かくても生きていけるように草になっていった・・・。

「この目まぐるしく変わる変化の時代」というフレーズが現代にも当てはまっていて面白い。これからは大樹ではなく草のように小さく臨機応変に生きていく・・・のが良いのかも?

木→草メインに変わったことで、トリケラトプスなどの「草食だけど首が短い」恐竜も出てきたらしい。植物は恐竜史も大きく動かしてますね。

その後、コムギより10倍くらい生産性(収穫量や面積)の高いイネの話や、それによって日本の人口は同時期のヨーロッパより多く、密集していたことなど、だんだん植物と人間の関わりに話が移っていきます。

サピエンスと農業革命、というのはサピエンス全史にも出てきましたが、その最初の一歩が偶然の発見のよるものだった、というのも面白い。

進化って、なんとなく生物やその遺伝子自体が環境を読んで自分を変化させていく・・・というイメージがぼくにはあったのですが、実際には「長い年月と偶然の織りなすもの」みたいです。

農業の場合、それは小麦からはじまります。小麦の祖先種である「ヒトツブコムギ」というのは、植物の繁殖として当たり前の行動「種子が熟したら字面に落ちて増えていく」を例に漏れず行ってました。熟すと収穫前に細かい種子となって撒き散らされてしまうので収穫しづらいんですね。

ところが、たまたま「熟しても種子が落ちない」という植物側としては完全に欠陥品が生まれてしまって、それがたまたま人類に見つかってしまった。「こりゃ良い!」ということでその欠陥品を持ち帰り、大切に増やし、食料確保できるようになった。こうしてコムギと「勝手に種子が落ちない欠陥品」ばかりが生き残って、現代に置いてはメジャーになった。

何を持って進化とするのか?

人間に見つかってしまったコムギは搾取されまくっているとも言えるし、労せず増やしてもらえるので「子孫繁栄」の目的は果たしているとも言えるし・・・難しいところですが、こういう「たまたまその時代とあっている性質を持っていた」ことで増えて、その種のメジャーな性質を形成するというのが「進化」の正体なのかもしれません。

進化論だと「生き残るのは強いものではなくて変化に対応できるもの」と言われているけど、この「変化への対応」が個体の努力や遺伝子の指令でどうにかなるレベルではないとなると、つまり「多様性を確保しておくことそのもの」こそが種族として繁栄するためには重要なのかもしれない。どれが「アタル」かわからないから。

ほぼ「進化」の話になってしまいましたが、次はコショウ、唐辛子などが登場するみたいで、どう人類と関わってくるのか楽しみにしてます。

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