【読書感想】好きなことしか本気になれない【仕事ができる人の正体】
問題なのは、それほど好きなことがないってこと
「好きなことで生きていける時代」とか、「好きなことであれば時間を忘れて努力できるでしょ?今すぐ嫌な会社はやめて、好きなことで生きていこう!」みたいなのを、もう嫌になる程見てきて、そういう生き方にすごく憧れて、この本も手に取りました。
ただ、嫌というほどわかっているのは、こういう方々が言うほどの「好きなこと」ってぼくには無い。
デザインは好きだし、イラストも好き、プログラミングもまだ初心者だけどどうやら性に合ってる。これだけ見るとなんでもやって生きていけそうなのですが、どれも「これが好きで好きで寝る時間も忘れて・・・」みたいなことはない。色々好きなのも、一つのことに特化するほど集中力がもたないから。
世間一般のみなさんには、それほどに「好きなこと」ってあるのでしょうか?
仕事のできる人は「掛け算」で生まれる
「人生100年時代、常に学び続けることが重要」とはよく聞きますが、この本においても『予測は不可能。常に成長できる「個人の力」が必要』と書かれています。
その「個人の力」とは
- スキル
- 自分の価値観
- セルフリーダーシップ
の3つでできています。
1のスキルはわかりやすく、誰もがやらなきゃな、とわかっているところ。
2と3は、自己成長のテクニック系の本だとあまり書いてなさそう?ですが、読んでみると確かになーと納得できるところでした。そして、この2、3が「そこまで好きなことなんてないよー」なぼくには大切なのかもしれない、と気づきました。
自分のことを自分はよく知ろうとしていない
2の「自分の価値観」は、自分が何を重視しているか、生きていく上で大切にしているか、何によって達成感を感じるか、とか色々あると思います。
ここをしっかり見つめ直して自分の軸をはっきりしておかないと、自分の人生なのにコントロールがまったくできずにフラフラしてしまうことに。著者は「自分の価値観をわかっていないと過去に囚われてしまう」と主張しています。
自分の過去には多分に社会的な過去、環境の過去なども入っているけど、「自分がどうありたいか」をしっかり持っていないと「今までがこうだったから」という考えに流されてしまう、というのは想像に難くないですよね。
自分で決めることで、自分がわかってくる!?
とはいえ、「自分の価値観」ってどうやってわかるの?どうやって磨いていくの?となります。
自分が何をしている時に心が動いていたかな、とか、何だったら時間を多少なりとも忘れられるかな、とか、そういうことを考えたり書き出したりすることも大切ですし、そういうノウハウを紹介している本も結構あって、それもそれで役に立つと思います。
が、この本では「セルフリーダーシップ」というものがあげられています。
個人の力としての3つ目、セルフリーダーシップとは、「自分で目標を決め、実行・達成し、評価もする」というもの。
学校や会社に所属していると、「他人に指示されて」「自分で実行・達成し」「他人やシステムに評価してもらう」ということが多いのではないでしょうか。
ぼくはフリーランスのデザイナーですが、それでも目標や評価が他者(クライアントとか)軸になりがちです。
これを、全部自分の中でどう決着するか。
社会人として生きていく上で他人の評価は欠かせなかったりもするので難しいのですが、「自分自身で目標を決めて、評価もする」までを全てやっておくことで「自分らしさ」は獲得されていくと書かれています。
これは、とても納得。しかも「自分の好きなことを紙に書き出す」みたいなのはすでにあるものを書き出せるかどうかにかかってきますが、セルフリーダーシップは「今ある自分らしさかけらたち」を集め、強化して「自分の価値観」を作り上げていける感じがします。
自分リーダーシップをとる、という行為を通して自分らしさを獲得していく、という行動主導であることが新しく、ぼくには良い学びでした。
モチベーションを上げる=自分をちゃんと知ること
「自分の好きなこと」というお題になると、みんな仕事内容や職業を思い起こそうとしませんか。
ぼくはそうでした。
ただ、好きなことというのは「お金持ちになりたい」とか「超もてたい」とかでも良いのではと思うのです。つまり、職種とか具体的な行為に限定しなくても良いのかなという感じです。
「自分の価値観」というのは、まさにそこです。
もちろん「音楽一本でどうしても食べていきたい」みたいな人もいるでしょうけれど、それでも「音楽を通じてみんなで盛り上がりたい」なのか「コツコツ良いメロディーをいくつも作っていくこと自体が気持ち良いから」なのか「楽器に触っているのが好きだから」なのか「音楽でモテたいから」なのかで、ずいぶん生き方は変わると思います。
「自分のやりたいこと」には「行為の内容」から「社会的な意味あい」まで様々あるのに、自分はずいぶん狭く考えてきたのだなと気付かされました。
仕事というのは、長い人生においても大半の時間かかわってくるし、仕事という言葉の定義次第では、ほぼ「=生きること」でもあるので、自分がどんな価値観を持って生きていきたいのか、に合致した働き方や仕事内容にできれば、人生がずっと楽しい=楽しいからモチベーションが高い状態を保てるのでしょうね。
確かに「好きなことで生きていく」を主張している方々もみなさん、自分の人生の価値観をしっかり持たれていますよね。
ということで、
『好きなことしか本気になれない』は「まずはどんなことでも本気でやってみないと自分の好きが見えてこない」